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ラジオのように ── 石川かおり+秋亜綺羅

詩画
01 /29 2013
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 新年はじめまして。 秋亜綺羅です。

 1月27日(日)から2月10日(日)まで、仙台文学館で、宮城県詩人会の詩画展をやっています。 美術家の石川かおりの油絵と、秋亜綺羅の詩を、柏木美奈子が編集してくれたので、2枚の詩画として片隅で参加させてもらっています。

 用紙が30cm×120cmという超ヨコ長の作品が2点、1台の長机のうえに置かれています。

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 これが左側の 「ラジオのように」 という作品です。 石川かおりがわたしの詩を読んで、というより感じてしまった詩を、忘れていく時間を描いていく、というような感じ、かな。

 実は、詩と絵は別の面に描かれています。 お互いが裏返しに存在しています。 それがくるりと半端に巻いたまま無造作に置かれています。 ブンチン代わりに3個のイチゴさんがいます。

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 上の写真のように、いちごさんたちから見ると、裏返った詩が、うっすらと透けて見えます。

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 これは右側に置かれた詩画 「ドリーム・オン」 です。 石川かおりが描いたナマの油絵の下には、原寸にスキャニングされた同一の絵画が印刷されています。 ナマの絵は、自由に手にとって見ることができます。 本物は動いても、印刷物は動かない。 詩にとって、印刷とはなんだろう。 活字とはなんだろう。 なんて、難しいことを考えさせたいわけでもありません。 ちょっとしたイタズラです。




「ラジオのように」──詩・秋亜綺羅 絵・石川かおり 編集・柏木美奈子

わたしのラジオからB・フォンティーヌの、
<ラジオのように> が流れている。
隔離病棟 <ふるさと> ではそれが、
聞こえるか。
(あなたの鼓膜Aとわたしの鼓膜Bの二点を糸電話の糸で結ぶ)
長すぎる糸は脳髄に絡まり、
夢のなかで、
あなたと何度も日が暮れていった。
<ラジオのように> とラジオ、のように。



「ドリーム・オン」──詩・秋亜綺羅 絵・石川かおり 編集・柏木美奈子

ンサートといえばクラシック音楽
ばかりだった時代に、世界で初め
のジャズがホールで披露されたとき、
観客はしらけてしまい、ブーイング
が渦巻いたと思う。 だが、この歴史
的な時間と場所に立ち会ってしまっ
たことに、ずっとあとになって、観
客は気づくことになる。

毎夜、眠り始めた瞬間に、目覚める
夢を見る男がいる。 朝起きて寝るま
での一日を、 もう一度、 そっくり夢
に見てしまうのである。

男はある日、死ぬだろう。 二度くり
返す人生の夢なんか、もう見なくて
いいんだよ。

毎朝、目覚めた瞬間に、昨晩の夢と
同じことが始まる女がいる。夜じゅ
う見つづけた夢が、翌日、確実に実
されるのである。

女はある日、死んだ夢を見るだろう。
夢からさめない方法を、だれに尋ね
たらいいだろう。

現実なのか、演劇の中なのか。 男と
女は出会う。 あなたは観客であるこ
とを問われることになる。 単独犯な
か、共犯なのか、立会人にすぎな
いのか。 あなた自身が決めればいい
ことである。

この地球という劇場に観客論はない。
泣きたくなれば、歌うしかないさ。
男も、女も。あなた自身も。

気づいたときにはもう遅い。 ずっと
あとになってしかわからないことこ
そが、部屋の鏡の中であなたの帰り
待っている、日常という名のもう
半分のあなたへの、おみやげなので
ある。
 
男も、女も、あなた自身の中にある。





 
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東日本大震災の預言書?

詩画
05 /05 2011
 
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 ちょっとごぶさたしていました。 秋亜綺羅です。
 「季刊ココア共和国」 第6号の編集とか、新しいイベントの企画などをやっていました。
 東北新幹線全線開通の初日には、
 東京・四ッ谷で開かれた、宮内文子写真展も見に行ってきましたよ。
  
 きょうは、横浜にいる新鋭のイラストレーター・小鹿夏との紙上コラボを紹介させてください。
 これは現寸にするとA3版です。
 イラストと詩を、それぞれに紹介したほうがブログでは賢明なのでしょうが、 
 できたら、美術と詩との距離、空間を感じてもらえたらと思い、
 パソコンのデータのまま、貼付しました。
 訪問された方には失礼な話ですが、
 拡大して見てみてください。
 
 小鹿夏の美術が1月にできあがり、わたしの詩は2月に書きました。
 震災の前日、3月10日。 小鹿夏にメールを送っています。
 「小鹿さんに描いてもらった絵に、やっと詩を付けました。
    柏木美奈子がパソコンで編集したので、あす、宅配便で送ります」。
 翌日。 封筒に入れられたこの1枚の詩画が、わたしの机のうえで集荷を待っているときに、
 その歴史的な揺れは起きたのでした。
 ついに配達されずに、2週間も置き去りにされた封筒…。
 なかの手紙も古くなったので書きなおそうと開封しました。 
 見て、われながらドキッとしたのです。
 小鹿夏の絵は、地球を想わせるドームのなかに、また地球があるかのような、
 カラフルだけど、ちょっと不気味な構図。
 そこにはなんと4機の原子力発電所? が火を吹いているのです。
 その絵に付けられた、小さな活字でびっしりのわたしの詩には…
 「これはほとんど預言書ですね」 と小鹿夏からメールをもらいました。
 
 というわけで、どっちにしても、ははは。 です。
 写真で読むには文字が小さすぎるので、改めて…
 
 
 
 
 
国際風の会議
 
                     美術・小鹿 夏
                     詩 ・秋亜綺羅
 
  
 
暗くて白い部屋である
おそらく牧場ではなく
遠くから視えているのは
波の音波である
 
いらっしゃいませ
一名様
闇のパーティーお越しです
 
透明海岸の海には
水平線がないのだ
水溶性の砂浜で
世界にあらんかぎりの
文字を
潮干狩る
文字は道具だが
ことばは事件である
事件だけが
海岸にとり残されている
 
火のついた導火線が
砂浜を走る
行き先を追いすがっても
風の風景が風のなかに
視えるばかりだ
 
水平線がないので
遠近法もなく
 
世界じゅうの風が集まる
国際風の会議では
地球という名の鳥かごに
飼育された
羽のない人類のことが
議題にあがるだろう
 
遠近法がないので
壁を感じない
 
人類は発狂する生物だ
人類は死ねないのではない
 
この二点から見い出される
日和見月見な結論
 
とんぼが跳ねて
かえるが飛ぶとき
やごとおたまじゃくしが
とんぼがえるとき
きつつきとうそつきが
月見するとき
 
哲学者は新しい思想と
普遍性をつくりだし
詩人がそれを
かたっぱしから壊していく
人類は地球一の馬鹿だ
 
壁が消えたので
うわの空と、うわの心
 
疑っているけど、信じてる
なにか壊れる音がするのに
信じない
 
真実はひとつだなどと信じてる
ひとつはふたつより大きい
などとは信じない
 
うわの心は
ふわりふわり
 
りんごにしてみれば
地球のほうが勝手に
りんごに向かって
落ちてくるわけだ
 
あやつり人形に
あやつられているのは
だれだろう
 
ふわりふわり、しゃぼん玉
破裂すれば消滅する
 
火のついた導火線は
消すことなどできないだろう
 
人類は消滅する生物である
 
破裂するのはなんだろう
どこに消えていくのだろう
 
魂の墓場はどこだろう
 
人類の故障はなおせるか
国際風の会議は採択したぞ
 
人類よ
肺炎で熱を出した?
出すんじゃないよ
 
人類よ
おなかが減った?
減るんじゃないよ
 
人類よ
天気が晴れない?
あしたは晴れるべきだ
 
 
       

秋亜綺羅

(1977.06.19)左から寺山修司、清水昶、八木忠栄、秋亜綺羅