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詩集からはみ出した 「気違い」

詩の朗読
09 /12 2012
 
 
 
 こんにちは。 秋亜綺羅です。
 
 わたしの詩集 『透明海岸から鳥の島まで』(思潮社) に載せることができなかった詩のひとつに、「気違い」 があります。 編集者もわたしも、ぜひ詩集に収録したいと考えたのですが、放送禁止用語であることばは、やはり遠慮すべきという配慮でした。
 「気違い」 を 「精神障害者」 などと書き換えると、詩が成立しなくなるのは、明白でした。
 
 「気違い」 の朗読(カクテル・ポエム)は、いままで YouTube に2分割されてUPされていたのですが、今回ノーカットでまとめましたので、ご紹介しました。 以前にUPしたとき YouTube は10分以上のものはダメだったのです。 お時間の許す方は見ていってもらえるとうれしいです。
 
 また以前の2本の 「気違い」 は延べ1万2千名のかたに視聴されていました。 ので、パソコンに登録されている方もいらっしゃると思いますが、以前のものは削除させていただきましたので、あらたに登録してもらえるとありがたいです。
 
 2年半ほどまえに、仙台のエルパーク仙台で公演されたものです。
 いささかマニアックな世界です。
 
 「ドリーム・オン」 というタイトルのイベントでした。 詩を聞いたふたりの俳優(舞踏家)が、感じるままに動く、というものです。 1時間以上のイベントで、この 「気違い」 がラスト・シーンでした。
 1カ月以上も練習していたのですが、ラストにわたしの尊敬するミュージシャン・只野展也が即興で演奏してくれるのを知ったのは公演の1週間まえ。 丹野久美子の演出でした。
そのとき詩を一篇渡していたのだけど、当日わたしが朗読したのは別のもの。
只野は1行の詩も見ないまま、演奏に入っています。 わたしの詩がどこで始まって、どこで終わるのかも知りません。
わたしは只野展也の演奏だけに集中して朗読することになりました。 わたしの譜面台の原稿のうえには、りきんだ左手がのっかり、原稿を読んでいる気配はありません、ね。
 
伊藤文恵と斎木良太のふたりの俳優も、そんな殺気? を感じてくれているのが、わかります。
詩のタイトルは、「気違い」。
精神病院に入院させられた「気違い」が、まわりのあんたたちこそ気違いだ、と叫んでいる詩です。 気違いになりきっているのはどこのどいつだい。 わたしだよ。(古!)
 
伊藤文恵が、舞踏では禁じ手? とおもわれる、ジャンプの連続をし、声をあげて叫んでいます。
見ものです、ぜ。
 
 
企画・構成=丹野久美子
出演=伊藤文恵、斎木良太
シンセサイザー演奏=只野展也
詩=秋亜綺羅
制作=劇団I.Q150
 
 
 
カクテル・ポエム「ドリーム・オン」
気違い
秋亜綺羅
 
いつだって会議は仲間からはずれるべき奴をひとり決定することで成立する
その奴というのはまさにぼくでしかない
というのが今回の会議の結論らしいのだ
死んだ鳥のようにぼくを寝せてしまえば
会議はベットのまわりででもつづけることができるからだ
 
ぼくは街路樹の木の葉たちがみんな虫にみえる
安心して街の空気を吸っているのは木の葉たちでぼくではない
だからぼくのお腹には虫がいるんじゃないかとおもう
そうおもってしまうとぼくは青白くて痩せている
友人たちはそんなぼくをみてお腹に虫がいるんじゃないか
医者に見せたほうがいいといって看護婦を抱いて酒をのんでいる
そんな時ぼくは友人たちの顔が街路樹の木の葉に見える
ぼくの主食は街路樹の木の葉なので
木の葉が手に入らなければ呪ってでも手に入れる
長生きできないのかも知れない
どうせ長生きしないのだからお酒をたくさんのむ
友人たちはぼくがとても青白くて痩せているという
木の葉のように飛んでしまうんじゃないかという
 
眼を瞑っても開いても在るものをぼくは夢と呼ぶ
ぼくは空を飛ぶ時いつも
仰向けの魂と一緒に青い肉体まで飛んでいくので
友人たちの老いた後姿を記憶にとどめるのが
精一杯であるほんとうだ夢じゃない
 
そんな夢から醒めるとベットのまわりには友人たちと
医者と看護婦とが
立ったまま会議している
 
頼むからぼくも仲間にいれてほしい
ぼくはあなたたちと何も変っちゃいないぼくは虫だ
頼むからと頼んでもぼくの望まない注射液と薬が
友人たちと医者と看護婦の笑い声と区別がつかなくなって
お腹のなかに注ぎ込まれている
ぼくは目を醒ますことを許されない
神よ!
とぼくは叫ぶ!!
木の葉たちはそれをうわごとだろうという
 
気違いというのは
ぼくを神様だと信じているぼくの仔猫のことをいうのではないだろうか神よ
気違いというのは
もう少しであなたに助けられたはずのぼくの子どものことをいうのではないだろうか神よ
気違いというのは
何度もあなたとの心中を試みたぼくの妻のことをいうのではないだろうか神よ
気違いというのは
あなたが怖くて故郷に逃げ帰ったぼくの妹のことをいうのではないだろうか神よ
気違いというのは
神に誓ってなどと平気でいうぼくの立派な片親のことをいうのではないだろうか神よ
 
 
 
 
 
 
 
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秋亜綺羅

(1977.06.19)左から寺山修司、清水昶、八木忠栄、秋亜綺羅