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瀬崎祐による、みゆき 「おじいちゃん」 評

詩ってなんだろう
06 /09 2011
 こんにちは。 秋亜綺羅です。
 詩人の瀬崎祐が、季刊ココア共和国第6号の、みゆきの詩 「おじいちゃん」 を、自身のブログで批評してくれています。 勝手に転載しちゃいました。 (瀬崎祐 「風都市」)
  みゆきは、このブログで知り合った詩人です。 わたしは Yahoo!ブログで、多くの詩人たちを見ているつもりですが、才能あふれる若い詩人たちに出会うのが楽しみです。
 ブログというのはもともと日記ですから、現代詩のように計算づくめのことばづかいは必要ないかもしれません。 死んでしまったことばたちを、昆虫採集のように並べるのじゃなくて、ことばを生きたまま飛び交わせましょうよ。 生きていることばたちに与える食事は、ひらめきと、ときめき、です。
 
 
 
 (以下転載)
 
ココア共和国6号 (2011/5) 宮城
 
 「おじいちゃん」 みゆき。
1連2行の平易な表現で ”おじいちゃん” の思い出が綴られていく。 そのおじいちゃんは、縁側で足裏のツボを叩いていたり、いっぱい持っている年金で私を大学へ行かせてやるぞと言ってくれる(本当は借金の返済で年金なんて残っていなかったのだが)。

寒い冬の日トイレで脳溢血で倒れて入院したおじいちゃん
お見舞いに行って流動食をスプーンで口に運んであげたら

「どうもありがとうございます」 ってすごく丁寧に言ったおじいちゃん
もう私のこともわからなくなっていた

作品の形を整えていくときに、彫刻のように彫っていく意識の時と、塑像のように部分を付け加えて意識の時がある。 この作品は、おじいちゃんの描写を積み重ねていくのだが、どの部分をどれぐらいの大きさで付け加えていくかを、素直な気持ちで選び取っている。
紅白歌合戦にも登場したフォークソング 「トイレの神さま」 を想起させてしまったりもするのだが、それでもなお、読み手に伝わってくるものがあった (1行書きになってからの最終部分は、さすがに余分だと思えるが)。

それにしても、この個人誌を発行している秋亜綺羅が選んで載せる書き手の作品は、どれも明るく軽快で、少しだけ情緒的である。 徹底的に偏った好みで作られている。 個人誌の意味はこういうところにあるのだろうな。

詩誌の後半には、秋亜綺羅が仙台から発信しているブログの一部が採録されている。 和合亮一のツィッターで発信されたものとは異なった視点からの証言である。
 
                                           瀬崎 祐
 
 (転載終わり)
 
 

 
 というわけです。 季刊ココア共和国は、一家に一冊!必需品のはずですが、まだお持ちでない方のために、特別だよん! みゆき 「おじいちゃん」 をここで紹介しちゃいましょう。 とてもいい詩ですよ。
 
 
 
 
 おじいちゃん
                             みゆき
 
   
 いつもあったかい縁側であぐらをかいては
 足の裏を手でぱーんぱーんと叩いていたおじいちゃん
 
 その動作がとっても不思議だったけど、
 足裏にはツボがある事きっと知ってたんだ
 
 自分の手入れした盆栽を嬉しそうに眺めては
 時折床屋さんのようにちょきちょきと枝を切っていたおじいちゃん
 
 どうしても真似してみたくって私がハサミを持つと
 コラコラと嬉しそうに叱ったおじいちゃん
 
 お母さんが近所の人のお通夜でいなくて、
 お父さんも帰りが遅くて布団の中で一人泣いてたら
 
 そっと布団に入ってきて頭をなでてくれたおじいちゃん
 後でお母さんに怒られてとっても可哀そうだった
 
 初めての修学旅行でおみやげに大きな笠を買って渡したら
 とっても喜んで次の日から縁側でかぶってくれたおじいちゃん
 
 おじいちゃんの坊主頭にはぴったりで
 私が思った通り、笠地蔵より似合ってた
 
 景気が悪くなって家が急に貧乏になって進学で悩んでいた時
 「おじいちゃんは年金いっぱい持ってるから大学行かせてやるぞ」 って言ってくれ
  たおじいちゃん
 
 おじいちゃんの年金なんてとっくに借金の返済に回ってしまったと
 後でお母さんに聞いたけど、おじいちゃんには何も言えなかった
 
 お父さんが亡くなっておじいちゃんと別々に暮らす事になって引っ越しの時
 トラックに荷物を詰め込む私たちを淋しそうに見ていたおじいちゃん
 
 寒い冬の日トイレで脳溢血で倒れて入院したおじいちゃん
 お見舞いに行って流動食をスプーンで口に運んであげたら
 
 「どうもありがとうございます」 ってすごく丁寧に言ったおじいちゃん
 もう私のこともわからなくなってた
 
 危篤の知らせを聞いて病院へ駆けつけたら、
 もう霊安室に移されてたおじいちゃん
 
 はげ頭はピカピカで、笑っているような顔をして
 今にも 「よく来たな」 って起き上がりそうだった……
 
 いつも 「こづかい100円やるぞ」 って言って
 軽いお財布さぐっては見間違えて1円玉くれたおじいちゃん
 
 はぶりのいい頃、お金持ちしか持っていなかった選挙権を持ってて
 マント着て投票に行って皆が振り返ったと自慢してたおじいちゃん
 
 だから国会中継が好きで
 時々居眠りしながらもずっと観ていたおじいちゃん
 
 庭の井戸水で粉のハミガキ使ってたおじいちゃん
  
 優しかったおじいちゃん
 
 もっと一緒に居てあげれば良かったよ
 
 もっとお話しすれば良かったよ
 
 ずっとずっと忘れないよ
  
 大好きだったおじいちゃん……
 
 
                                              ──季刊ココア共和国第6号より
 
 
 
 
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コメント

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No title

仙台のとっておきの音楽祭に行ってきました。宮城県の人は思いのほか元気で、応援に行ったつもりが、逆に元気をもらって帰りました。まだしばらくは大変な状況が続くと思いますが、被災地のことなども知らせてください。

No title

優しい気持ちになれますね。
なくなってから、もっともっと一緒の時間をって思って悔やむんですよね。わかります。

No title

思わず もらい泣きしてしまいました、、。

ポチ★

No title

こんばんは、薫風と申します。
履歴からやってまいりました。
優しい言葉がいっぱい詰まった素敵なブログですね。
この詩もなんだか寂しい気持ちと優しい気持ちが交差する
温かい詩ですね。また訪問させていただきます^^

No title

写真と詩、携帯から見れないのでまた来ます

おじいちゃん…
読みながら泣きそうになりました。
こころの中にあったいろんな同じようなおもいが浮き上がってきました。
なんてステキな体験ができるんでしょう!詩ってすごいですね。ありがとうございました

No title

おじいちゃん 素敵ですね
私のおじいちゃんは夕べ トイレで おもらしをしちゃいました

しかし 誰も責めません

愛を ですね

No title

私の記憶の中おじいちゃんは、
いつも着物を着ていて、両手を帯の腰の辺り当てて、
少し大きめの顔で頭のてっぺんには余り髪の毛が無くって
手が大きくって、足も大きくって、しわがれた声で、
いつも余り何も言ってくれなかったけど
遊びに行っておじいちゃんがいると、
なんだか安心したのを思い出しました。
そうそう、カナリアをたくさん(?)大切にしていました。

みゆきさんのおじいちゃんとは、とても感じが違うけど、
優しさは・・・同じなのかも、とか..

むかし昔のことを懐かしく思い出しています。

サンキュー。

No title

大澄さん。
はやぶさは、いかがでしたか。
津波より大きな、経済の波は近づいています。
復興にも娯楽にも、想像力がないと、呑みこまれてしまうでしょう。

No title

rittyさん。
rittyさんの写真とコメントは、脳髄に響きます。
楽しませてもらっています。

No title

zcat1118さん。
みゆきの詩は、ひとりごとのようで、
だけど他人にやさしく、訴えるものがありますね。

No title

薫風さん。
ボーちゃんは苦しまずにすんだでしょうか。
悲しく、せつなく、うれしい思い出…。
きっと時間が、思い出すことを、
楽しいものにしてくれるのでしょうね。
また伺います。

No title

まりあさん。
ちょっと大きい写真が続いちゃいました。
まりあさんの体調はよくなりましたか。
まりあさんのブログ、楽しみにしていますよ。

No title

愛の宅急便さん。
うーん。 おもらしですか。
立派なおじいちゃんになるための、
成長過程なのでしょうか。
そんなはず、ないか。

No title

M。bunkoさん。
そういえば、わたしのじっちゃんも、カナリアをたくさん飼っていました。
このブログの 「エッセー」 のところに、
じっちゃんのことを書いていたのを、思い出しました。

No title

ココア共和国さま 素晴らしいおじいちゃんです。G式もそう思います。G式が官僚が大嫌いなのは、沖縄出身の詩人が死んで、娘さんが沖縄に弔いに帰った時、兄貴だか弟だか、たかがチホウ公務員上がりの爺の癖に、ま冗談だろうけど「東京でルンペンしていたってきいたけど」なんて聞き捨てならぬ物言い姿をテレビで見た時。その瞬間から癌細胞のように官僚嫌悪症が瀰漫しました。何千万円かの退職金を税金から強奪しておきながら、ルンペンはないだろ!いらい公務員を見ると噛みつきたくなる疾患に悩んでおります。税金泥棒の公務員より詩人や舞踊家のほうが数等倍気高い人種です。頑張ってください。G式も貧乏ながら応援します。たぶん日本は滅ぶだろうけど再興するとしたら、若い人、きれいな心も持った人のおかげです。コーヒ帝国より

No title

G式さん。
詩人や舞踏家は、気高い必要はとくにないです。…
ホモ・ルーデンスじゃないけれど、
人生を、「生活」 と 「遊び」 に分別するなら、
政治も、官僚制度も、税金の仕組みも、「遊び」 なんだ
ということを、みんな忘れちゃってる気がします。
「遊び」 を楽しめるかどうかは、ルール次第。
というわけです。

No title

みゆきさん。
「内緒」のコメント、ありがとうです。
「内緒」のコメントに、「内緒」 で応えても
みゆきさんにすら、読めないですよね。 このブログ…。
一方通行の 「内緒の話」 は、あのねのね。

秋亜綺羅

(1977.06.19)左から寺山修司、清水昶、八木忠栄、秋亜綺羅