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山本山さんはむかしママゴトをした ■ 秋亜綺羅  ※詩

04 /11 2009

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               家出して来た腕時計



山本山さんはむかしママゴトをした ■ 秋亜綺羅

裏に住む山本山さんは、左から読んでも山本山、右から読んでも山本山、
裏から読んでも山本山さん、というわけだ。
しんしん雪が、山本山さんの家の屋根で白い舌を出して、手紙を書いていた。
そんな寒い日には、暖炉のそばのネコに、家族みんなであたったものだ。
ネコはサンマに恋をしていて、魚も喉を通らないほどだった。
さて、お腹がすいた山本山さんは、テレビばかり嚙っていた。
で、それでは仕事にならないので、仕事に出かけることにした。
山本山さんの仕事は、テレビのセールス。
人間は仕事がいちばん。仕事のためなら、好きなテレビもがまんする。
山本山さんの仕事は、テレビのセールス。
テレビを見るやつ、ばかなやつ。
テレビを売るやつ、働きもの。
鳥は鳥のように飛び、鳥のように眠る。
山本山さんは、テレビのセールスマンのように、人間だ。
セールスでまず重要なのは訪問である。
訪れるひとが多くなれば、当然だが、訪れられるひとも多くなる。
だからひとは増えるいっぽうで人口問題が問題になるのは時間の問題である。
人口問題を騒ぐひとが多くなりすぎると、人口問題に影響する。
時間銀行では、時間の利息を計算する時間もないほどだ。
銀行強盗は、時間を盗むのにもうすこし時間をかせぐ必要があった。
強盗が持っていた暗号から意味を消していくと、数字が残った。
意味のない暗号なんて、もう暗号の意味はない。
考古学では、こういったものは、詩と呼ぶしかない。
意味がないといえば、飲酒も、音楽も、睡眠もそうだ。
4がよっつ。
その、残された数字こそが、キーナンバーだった。
サイコロをふると、4ばかり出る日だった。
4月4日、4人の銀行強盗は正確に4時、舌を出して、時間泥棒に成功した。
そのとき、山本山さんの未来も盗まれた。
裏から読んでも、未来。
未来が盗まれると、過去も舌を出して、雪のようにとけていった。
過去はカコ、カコと鳴く。過去はカエルだった。
山本山さんの腕時計は家出をして、世界最先端のYAHOO!ブログに登場した。
山本山さんのおじいさんの家の柱時計は、「最近の若いモンは、
どうにもボーン、ボーン」となげいては、貧乏ゆすりするのだった。
過去も、未来も、腕時計さえも失った山本山さんの心に、風が吹いた。
風が吹いたのでオケ屋は吹き飛んだ。
結局、オケ屋は災害保険でもうかった。
風は、口笛を吹きながら考えた。ひとにはどうして人生なんてあるんだろうね。
出発するため? 到着するため? それとも乗り換えるため?
そう唄いながら風はプラットホームを、あ、踊り抜けた。
風の吹かない日に日なたぼっこをするのは人間だけである。
ネコは風といっしょに日なたぼっこをする。
風とネコが手をつなぐとき、風は吹かないし、ネコはツメを立てない。
ネコがまばたきすれば季節が変わる。
人間みたいに人生を背負ったりしなくても、風は、昼も夜も口笛を吹く。
昼働いて夜眠ることのできるひとは、死んで幽霊になれるひとだ。
幽霊というのはほんとうは夜、眠っているものなのだ。
幽霊に会ったなどというのは、夜眠られないひとたちの、嘘に決まっている。
ぐっすり眠っている幽霊を見た、というのならばともかく。
では昼の幽霊はといったら、かくれんぼして遊んでばかり。
鏡のなかにかくれんぼしたオニは、鏡に映らない。
鏡は、現実を左右反対にしてしまうのに、逆立ちはニガテらしい。
現実を映しつづけるのだから、鏡にはヒマがない。
ヒマのない現実だから。
命をムダにしないということは若さを惜しまないことだ、とだれかが遺書した。
自分の匂いがおもいっきり染みるまで一着の服を着替えない。
そんな日数を着たくなる。
経験とはとても大切なことだ。おとなはむかし、こどもを経験した。
山本山さんはむかしママゴトをした。
山本山さんはテレビを売っている。
山本山さんはむかしママゴトをした。
山本山さんはテレビを売っている。
山本山さんはテレビを売っている。
山本山さんはむかしママゴトをした。
山本山さんはテレビを売っている。
山本山さんはテレビを売っている。
山本山さんはテレビを売っている。
書いているところを、ネコのスパイに見られたので、
この詩は破り捨てた。
山本山さんは裏返しても、山本山さんだ。

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コメント

非公開コメント

No title

影絵の芝居を見ているようでした。

No title

ドアを開けると、別のドアがあって、それをあけるとまたまた別のドアがあって・・・、迷路の中を彷徨ってるみたいです。「おーい、誰かここから出してくれー」

No title

名犬ぽちさん。
長ったらしい詩を読ませちゃってすみません。

No title

いそみみさん。
ナンセンス詩に挑戦しようと書き始めたのですが、ナンちゃって詩って感じになっちゃって…。
山本山なんて名字のひといるのかな? と思われるところからこの詩は始まります。テレビのセールスマンなんて職業も、サンマに恋するネコも…。あるようで、ない…。無理だけど、つぎ行っちゃうよー、みたいな。

No title

シャドウ・ボックスの迷宮に迷い込んでしまったような不思議な空間を感じます。独特なリズム感ですね。ポチ☆

No title

絃玉さん。おはやうございます。
詩って、書き終えたときは自己満足感で満腹になるのですが、しばらくするとまた、おなかがへってくる。書き終えた瞬間はもう2度と書かなくてすむだろうと思うのに…。
そして、自分の書いたものを読んでくれるひとがいて、感想までいただけると、このうれしさって別腹だよな、と思います。ありがとうです。
絃玉さんのブログへもときどき伺っています。絃玉さんのエッセイは、ついついどんどん読みたくなるものばかりですね。
楽しみにしています。

No title

こんにちは。わたくしのブログをのぞいて下さったようですので、私もおじゃましさせて頂きました。ブログタイトルもユニークな上に、文面も面白いですねぇー。見習いたいです。できればメロディを付けて歌にして欲しいものです。ココア共和国さんのワールドって、迷いこむのが楽しくなりますネ-☆

No title

dom*ne*e*s2さん。ありがとうございます。
鬼嫁随想録、お邪魔しました。出版関連の仕事をしているので、なるべく多くのブログを見させていただき、勉強しているところです。
とくに文学関係を訪れています。鬼嫁随想録は始まったばかりのブログのようですけれど、とても好きです。面白い随筆がどんどん進化していきそうな予感がします。楽しみにまた伺います。

No title

恐縮です!(汗;)メインテーマを絞らず、散漫にとりとめのないことばかり書いているので、未だ海の物とも山の物ともつかないブログで、ココア共和国さんのように整った作品のような完成度の高いブログには到底及びません。やはりパブリックコメントですので無意識に中傷にあたるような記述もあったのでは、と落ち込んだりして昨日は難波(大阪ミナミ)界隈に関する投稿を何点か削除しました。そこで生活する方々に失礼であったかと。レスを読ませて頂き、前向きになれました。有難うございます。もしお暇な時にのぞいて貰えた時にでも、NGなものがございましたら、ご遠慮なくご指摘のほど、何卒宜しくお願い申し上げます。m(__)m鬼嫁

秋亜綺羅

(1977.06.19)左から寺山修司、清水昶、八木忠栄、秋亜綺羅